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中国湖北省で発生した新型肺炎(コロナウイルス)の感染拡大により、ゴム相場は一時急落しました。新型肺炎の発生源となった中国は、世界の工場といわれるほどあらゆる国の生産に関わっています。今回新型肺炎が発生したとされる湖北省武漢市は、自動車産業に関わる工場の集積地です。そのため、大手自動車メーカーが拠点を置いています。
新型肺炎の感染拡大により、各拠点での部品生産が困難な状況に。さらに、中国内での自動車販売にも影響。長期に渡って新型肺炎の影響が続いた場合、世界中を巻き込んだ自動者生産台数減少になりかねません。自動車生産に大きく関わるゴム相場は今後、安値低迷が続く恐れもあります。
中国では2020年2月上旬の感染拡大をピークに、徐々に感染速度は収束に向かいつつありました。この時期からゴム相場には反発が見られ、少しずつ上昇傾向に。このまま市場は冷静さを取り戻し根固めできるかと予想されましたが、アメリカではトランプ大統領による対象国への渡航禁止検討が発言され、再び市場には暗雲が立ちこめています。
中国の自動車生産の見通しが立たなければ、ゴム相場の安値低迷が続く可能性も。しかしながら、安値揉合は絶好の買い場となりますので、この根固めが3月中になるのか、4月までかかるのか注意深く見ていく必要があるでしょう。
ブリヂストンでは2020年1月29日から中国湖北省への出張を禁止するほか、中国全土への出張も原則禁止。ブリヂストンは湖北省の武漢市に自動車シート用素材の工場を所有しています。駐在員1名がチャーター便での帰国を余儀なくされました。タイヤをはじめとする自動車部品の現地工場は春節にともない一時休業していましたが徐々に工場の稼動再開を行っています。しかし、人員の確保が難しく、再開を延期する動きも出ています。
住友ゴム工業は、社員の中国全土への出張を原則取り止めにしています。また既に中国へ駐在している社員とその家族については、一時帰国するよう勧告。住友ゴム工業では、中国全土にある3カ所の拠点すべてを春節から2020年2月9日まで休業としました。タイヤを生産している湖南と常熟の2つの工場は、2020年2月10日から12日かけて稼動を再開。従業員の状況を見ながら計画的に生産をすすめていく方針としています。
再開については各拠点ごとに従業員の出勤前の体温計測を推奨し、37.5度以上の体温がある従業員については病院で受診するよう勧告しているそうです。また住友ゴム工業ではマスクを約2万枚確保し、消毒液や人に接触せずに体温を計ることができる非接触体温計を各工場に発送するなど工場再開に向け対応を進めています。
横浜ゴムも同様、中国武漢市をはじめとする湖北省への出張取り止めを行っています。中国にある拠点のうち、タイヤを生産している杭州と蘇州を2020年2月9日まで休業。タイヤ以外の工場も上海事業所からの要請を受け、春節からの休業を2020年2月9日まで延長するなど新型肺炎による対応を行っています。
TOKYOTIREでは社員に対し、中国への不要な渡航を自粛するよう勧告しています。TOKYOTIRではタイヤを中心とする部品生産工場を、張家港市と諸城市に所有。上海の販売会社と合わせて春節の休業を行っています。
休業に伴い駐在員も日本へ一時帰国させ操業再開に向けて時期を見計らっていましたが、張家港と諸城の2つの工場は2020年2月10日から稼動を再開。自動車用のゴムを生産している広州工場では2020年2月12日から操業を再開しています。
三菱ケミカルは1月末の時点で全社員に対して中国湖北省への渡航を禁止しています。また湖北省のみならず、中国全土においても急ぎでない用事の場合は渡航を見合わせるように指示が行われました。三菱ケミカルは四川省にある成都市と、江蘇省にある蘇州市、常熟市に樹脂製品に関わる製造拠点を所有。また三菱ケミカルのCFOは、都内で開かれた決算記者会見で新型肺炎による工場休業を前提とし、2020年1〜3月期は30億円程度の減益予想になると述べています。
日本ゼオンは、2020年1月初旬からグループ全体で社員の武漢市への出張を禁止するとともに、2020年1月下旬には中国全土への出張を禁止するなど感染拡大防止への対応を行っています。日本ゼオンは湖北省に拠点はないものの、上海や広州など中国各地にいる駐在員を一時的に日本へ帰国。
また日本国内での感染が広まった場合に備え、在宅勤務を検討するなどの措置を進めています。
JRSでは2020年1月29日時点で湖北省への出張を禁止、そのほか中国全土への社員の出張についても延期をするなどの措置を取っています。湖北省に同社の拠点はないものの、上海にある拠点では春節の休業を2020年2月9日まで延長。
その他の中国各地の拠点についても2020年2月2日まで休業を延長し、休業再開後も可能な限り在宅勤務を推奨しています。また中国各地に駐在している社員とその家族が帰国を希望する場合は、日本へ一時帰国させるなどサポートを行っているそうです。
豊田合成は新型肺炎への感染拡大に伴い、2020年1月24日付で中国への出張を自粛しています。春節休業していた7拠点のうち6拠点については2020年2月10日に操業再開を決定。
湖北省にある工場については未だ再開のめどは立っていません。豊田合成では新型肺炎による各拠点での生産停滞を受け、中国以外での代替生産を検討しています。
クラレでは2020年1月24日に会社内に対策チームを設置。2020年2月6日時点で中国全土への出張を原則禁止するほか、中国全土からの海外出張についても原則禁止にしています。また中国に駐在している社員とその家族に希望があれば、日本への一時帰国をサポート。
一時帰国している駐在員については帰国後10日間の出社・取引先への訪問を原則禁止とし、在宅勤務を義務付けています。湖北省には拠点を持っていないものの、従業員の安全確保のための措置をとっているクラレグループ。今後は地方や政府の方針に従って稼働再開を進めていくとしています。
各社の動きを見ても、新型肺炎に警戒しつつ徐々に湖北省以外での操業再開が行われています。中国の新車販売低迷の不安から相場は不安定なままですが、生産がストップしていた分タイヤの需要は一時的に増加する可能性も。
ただし、販売増加の見通しがつくまでは相場も反発しつつ安値低迷が続くことも予想されます。新型肺炎にブレーキがかかるまで、引き続き注意深く見ていく必要があるでしょう。